前回の「地方移住-風水が決め手(1)」では、長年の中国での経験を踏まえ、地方への移住を検討する際に風水的視点が非常に重要であることを説明しました。
今回は、風水の基本原理と実際に経験した事例を中心に紹介します。
多くの人は風水は占いの一種であると勘違いしています。占いはほとんど外れますが、風水はほぼ科学的根拠に基づいていますので、私の感覚ではほとんど的中します。当然のことですが風水を間違って理解している人もたくさんいますので気をつけてください。
まず風水の基本原理から説明します。
人間は自然界から主に3つの力を受けて生きています。
「太陽のエネルギー」、「地磁気の磁力」、「引力」の3つで、他に月の引力とか他の惑星のエネルギーとかもエネルギーを受けていますが、前者の3つの力には到底及びません。
この3つの力の内、「引力」は当然大きな影響を受けていますが、地球上ではどこで生活しても平等に同じ力を受けているので、重要ですが風水の議論の対象にはなりません。したがって、風水は「太陽のエネルギー」と「地磁気の磁力」とをいかにうまく取り込むかという考えに基づいています。
まず「太陽のエネルギー」ですが、地球が23.4度傾いているため、太陽は真東から上るのではなく、北東に近い側から上ります。したがって、気持ちよく生活する上では北東側に遮蔽物がなく、西日の強い南西側に遮蔽物があるのが理想的です。
また「地磁気の磁力」ですが、地磁気は地球上のどこにいても真北から真南に向かって流れていますので全ての人に公平であるように思いますが、実は鉄類や山々などの時期が遮られる場所ではその恩恵を受けることができません。したがって磁力は風水の議論の対象になります。
余談ですが、人の血液には鉄分が含まれていて健康上影響を受けています。
以上から、風水的視点とは上記2つのエネルギーをうまく生活に取り組んでいるかどうかの視点と言えます。
また、風水のことを論ずる場合、「太陽のエネルギー」や「地磁気の力」を総称して「気」と表現し、「気」は北東側から入り南東側に抜けるものと理解しており、時には「富」とか「幸運」をもたらす方向と捉えています。
さらに上記の「気」以外に風水的視点でもう一つ需要なことは、人の心の気持ちよさや満足度を考えた視点で生活のスタイルを選択するということも風水にとって重要な要素です。
このことについても実例を交えながら後述します。
私は以前中国南部の広東省の常平鎮という人口20万人程度の町に住んでいました。
上に添付の衛星写真はその町で最も賑やかな繁華街で、土日になると歩けないぐらいにごった返していました。写真の茶色で示した道路は中でも最も買い物客の多い道路で、両サイドにはファッション関係や飲食の店舗がぎっしりと並んでいます。
ところが不思議なことに、店構えにおいては道路を挟んだ両側の様子は同じですが、歩道の人通りの混雑に大きな差がありました。
原因は風水です。
道路は図に示すように、北西から東南に向かって走っています。したがって風水的視点で言えば、「気」は地図のように北東から南西に向かって流れています。
ここまで書けば解っていただけると思いますが、賑やかなのは道路の南西側の歩道です。南西側の店舗は午前中はタップリと「気」恩恵を受け、午後は「気」のエネルギーが適度に弱まる状態です。逆に東北側の店舗は午前中は太陽が当たらず、午後になって強い日差しが当たってきます。午後は耐えられないほどいやな気分になります。具体的には人出は10対1ぐらいの差がありました。東北側の店舗は常に店じまいを繰り返し入れ替わっていました。
このような例が方々にありますので、移住を検討する際にも居住地の道路の方向は特に注意する必要があります。いったん決まれば取り返しがつきません。
「気」は北東側から入り、南西側に向かって抜けるということを知っていれば、風水に関して半分以上理解できたことになります。
少し応用になりますが、一戸建て住宅を購入する際には東南の角地がいいとか、東側に道路がある敷地がいいとか言いますが、これは上記の考えから来ています。また家を建てる場合の玄関は東北側から若干北側の方向がが最適です。間違っても南西側に玄関を設けないでください。南西側に開口部がある場合は「気」が抜けてしまいます。
工場で例えると、南西側に正門を設けている会社は必ずと言っていいぐらい業績が悪いです。
さて、ここまでは主に方角に関わることを述べてきましたが、風水のもう一つの要素として人の心を損なう生活スタイルに配慮することです。
例えば、玄関等の家の正面にサボテンやバラなどの棘のある植物を置いたり育てている家庭がありますが、これは訪れる人に針を突き付ける行為と同じと考えられており、避けた方が無難です。どうしても親しみがあるなら家の裏側に移動させてください。
地磁気の関係で言えば、家の正面側が北側に向いている場合は鉄系の金網や鉄板は使用しない方が無難です。家に入る地磁気の力が弱まるからです。
以上、風水の基本的な考え方とそれに基づいたいくつかの実例について述べてきましたが、応用につきましては無数にあり、とても書ききれません。
あとは、風水の指南書を購入するとかインターネットで調べるとかして知識を広げていただければいいと思います。
次回は本記事の目的に沿い、私のUターン先である兵庫県新温泉町を風水的視点で考察して最終回のまとめにしたいと考えています。