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農業の救世主〖乾田直播〗実験開始!

地方開拓

 最近稲作農家がどんどん廃業に追い込まれています。
 農業が衰退すれば人口問題に歯止めがかからず、ますます日本が衰退します。
 稲作農家廃業の最も大きな原因が農民の高齢化ですが、もう一つの原因が苗、肥料、除草剤、労働コスト等の高騰です。
 参考までに、最近の米の供出価格は玄米で平均233円/kgです。また、小売価格は410円/kgです。
したがって、精米と梱包を含めた流通費が43%です。
 農家の苦労に対して高すぎます。
 最近ではこういう状況を回避しようと、いろいろなうたい文句をつけて直販する農家が増えてきています。
 ちなみに中国の場合は、最近急激に労働賃金が上昇しているにもかかわらず小売価格は平均100円程度、良質の米で140円程度ですから、日本の農協や流通業界が如何に搾取しているか、また農民が如何に効率の悪い生産を行っているかが分かります。
 まだまだ稲作は捨てたもんじゃありません。

 本記事では、米の生産工程に焦点を当て、特に生産コストに影響を及ぼしている田植えまでの工程を省力化する技術として、「乾田直播」を取り入れた手法の実験経過を紹介します。
「乾田直播」とは、種籾を乾いた田んぼに直接まく方法で、田植えを省略できます。
 まず前提として、現在一般的に行われている工程は、下記の通りです。
①田んぼの土を耕し、肥料を散布する。
②田んぼに水を満たし、耕運機のような機械を使って「代かき」という土をならす作業をおこなう。
③上記工程に並行して、別の場所に種もみをまいて苗を育てる。
④苗が20cm程度になったら田植えを行う。
⑤田植え以降は、比較的簡単な除草と追肥。
 このような工程で、特に①から④までが費用のかかる大変な作業です。
 特に「乾田直播」は上記の②③④を土地をならして直接種籾を散布する作業に切り替えることにより省力化しようという試みです。
 また、将来「不耕起」の技術を開発することにより、ほとんど煩わしい作業が必要なくなるかもしれません。

 今年は手始めに「乾田直播」の技術を家庭菜園レベルで実験しようと考え、プランターで稲を育てる実験を開始しました。
 「乾田直播」のキーとなる技術はいろいろと開発されているようですが、今回はバイオテクノロジーズ(株)製の「マイコス菌根菌」(写真参照)を使用しました。
この製品は、菌糸を根から長くのばしてリン酸を土壌から吸収する微生物資材で、稲の根の張りが良くなり、水田でなくても十分に水分と養分を吸収できます。

 実験は種籾2種類、使用方法3種類の組み合わせ、計6種類で行いました。
【 種籾 】A.ハピーヒル(ミャンマーの稲と日本の在来種の稲を交配した新品種)
      B.コシヒカリ
【直播方法】1.種籾に直接マイコスを紛衣(まぶす)する。
      2.マイコスを水に溶かし種籾を一昼夜浸漬する。
      3.土の表面にマイコスを混合する。
 写真が、現在30日後の状態です。
 定量的ではありませんが、すでに条件によって差が出ています。

 結果をまとめますと、
 種籾に関しては、ハッピーヒルの方がコシヒカリより乾田直播に適しています。
 直播方法に関しては、土にマイコスを混合する方法がも最も適しており、次にマイコスの溶液に種籾を浸漬する方法がより適しています。
 手間のかかる方法ほど適した結果となっており、皮肉です。

 現在播種後1ヶ月ですが、今後「分けつ」(新しい茎が根元から増える現象)が進んできますので、状態がどのように変わっていくのか観察します。
 楽しみです!

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